へぎ板

板そば・板うどん用へぎ板のお話し出てきた 『へぎ』・・・

「へぎ」とは
木の木口にナタや楔を入れて木目に沿って割り裂くことを「へぎ」加工と言います。
枌(そぎ)、枌板(そぎた)、枌板(そぎいた)、剥板(へぎいた)、折板(へぎいた)、削板(そぎいた)
色んな読み方、書き方がああります。


読んで字のごとく、木を分ける。削ぐ。剥ぐ。折る。
ノコギリなどの道具が発達する以前からあった木工の技術です。
木を割る、つまり原木を加工する一番シンプルな技法・・・
杉、桧、椹(さわら)、ネズコなどの針葉樹を、薄く断ち割ることを、へぐといい、へいだ板をへぎ板という。
 へぎ板は野根板ともいうが、同じものである。曲げワッパなどに使われる材料になる。
 建築では、網代などにつかう。かつては野地にトントンとして使われ、竹釘で固定された。  
 最近ではアスファルト・ルーフィングに取って代わられた。
出典:(株) 総合事務所 建築用語集

へぎ板は、こけら葺き・土居葺き用の手割板(屋根板)として、今でも文化財に使われています。
へぎ板が、屋根材になり、また以前ご紹介した「麹蓋」ソバ用へぎ板もなります。
屋根材にしても麹蓋、ソバ用へぎ板にしても、水切りが良いこと、軽いことがメリットでもありました。

しかし「割る」と「へぐ」は違います。
材にシナリのない状態のときは「割る」、シナリが出てきた状態から「へぐ」。
「ヘぐ」時は途中まで刃物を入れて最後に材と材を引き剥がします。
そうして出来た「へぎ板」は繊維を切らないためツヤがあり、水をはじいてくれます。
元(木の根っこ)と末(木の先端)で径が違う末広がりの形をしています。
木を板目方向にまっすぐ「割る」「ヘぐ」ためには、素材を吟味から始まり、熟練の高度な技術が必要です。
天井板でも天然のツヤが出た最高級品となります。
現在山形県で有名な「板そば」用ヘギ板は板目材が多いのですが、柾目の方が水切りが良いと思うのでその昔は「柾目材」だったのかもしれません。
しかし下図の様に幅広の柾目板はそうそう取れません。


出典:http://monotsukuri.net/wbt/wbt_daiku/d0712/d0712.htm

ノコギリが作られて、樹種や木質をあまり問わず薄い板目や柾目板が取れる様になったと思います。
しかし帯鋸で製材された板はやはり繊維を切ることになり、カンナなどで仕上げないとツヤが出てきません。
とはいえ製材も帯鋸盤で薄く、真っ直ぐ、かつ美しく挽くのは技術が必要です。
秋田県の製材業界は、この難しい技術において日本でトップクラスでした。
素材だけではない、秋田の木材加工技術は誇るべきものがあります。

「へぎ板」を活用した弊社の製品が「麹蓋」です。
「天然秋田杉・麹蓋(こうじふた)の販売はじめました。」
https://kutsuzawa-seizaisho.co.jp/cms/archives/3778
昔からの知恵はもっと凄いですね。

余談ですが、学生時代に新潟で「へぎソバ」を食べました。
ソバのつなぎがワカメでツルツルしてとても美味しかったです。
木材に関わる前でしたので、ワカメのつなぎが入ったソバが「へぎソバ」だと思っていました。
そうではなく、器が「へぎ」と知ったのはしばらくたってからでした。
いまでも毎日勉強不足を痛感しております。